英ファッションブランド「マックイーン(McQueen)」が、2025年春夏コレクションのキャンペーン動画を公開しました。
新たなコレクションは、アイルランドに伝わる妖精「バンシー」の世界を具現化したもの。
英国人ファッションデザイナーのアレキサンダー・マックイーンが1992年に設立したラグジュアリーブランド「アレキサンダー・マックイーン」。
前衛的なデザインでファッション界に衝撃を与え、レディー・ガガやビョーク、リアーナなど個性的なスタイルの歌手に愛されてきました。
2010年にアレキサンダーが40歳という若さで急死後、ブランドはウィメンズ部門のヘッドデザイナー、サラ・バートンがクリエイティブ・ディレクターとして継承。キャサリン妃のお気に入りブランドとして、王室ファンの間でも注目を浴びました。
サラは、2023年9月開催の2024年春夏コレクションを最後にブランドを退任。その後、アイルランド出身のショーン・マクギアーが新たなクリエイティブ・ディレクターに就任しました。
そして2024年秋冬シーズンから、ブランド名を「マックイーン」と変更しています。
新たなコレクションは「バンシー」がテーマ
そんなショーンが手掛ける2025年春夏コレクションは、自身のルーツであるアイルランドで伝承される妖精「バンシー」からのインスピレーションです。
バンシーはアイルランドの民話に登場する女性の妖精。人の死を予見して叫び声を上げるとされ、その叫び声を聞いたら、近い内に死者が出るといわれています。
ショーンがデザインしたコレクションはバンシーを具現化したもので、蜘蛛の巣のようなレースやプリーツシフォン、シルクのクレポン、引き裂かれたシルクオーガンザなど美しい素材を手作業で制作したそうです。
色はシルバーグレーやブラック、アイボリーと対照的なイエローやオレンジを用いることで、バンシーの民話が伝える力強さと儚さのバランスを表現しています。
アイルランドで生まれ育ったショーンにとって、バンシーは「幼少期の想像力の中で大きな存在感のある人物」だったそうです。
「最近になって新たな意味を持つようになった。彼女は他者との繋がりを駆り立てる、自由な何かであると感じています。」(ショーン)
バンシーの力強さを表現したキャンペーン映像
「マックイーン」の2025年春夏コレクション・キャンペーンのヴィジュアルを手掛けたのは、英出身でニューヨークを拠点に活動するファッション・フォトグラファーのグレン・ルックフォードです。
映画を愛するグレンが創り出したのは、バンシーが持つ大胆かつ容赦ないスピリットを表現したもの。
映像は英ウェールズ地方のカーマ―ゼンシャーにある古城ランステファンを舞台に、謎めいた力によって結ばれる人々が描かれています。
城から限界の時を迎える光が放たれると、人々が荒野を歩き、城から見下ろすカーマーゼン湾の前に集合。海の中から反射光が放たれると、人々は新たなパワーを与えられたかのような表情に。
モデルが着用しているジュエリーは、彫刻的なデザイン。バンシーの伝説に登場するさまざまなアイテムからインスプレーションを受けた作品だそうです。