今年もクリスマス・シーズンが到来し、イギリスでは毎年恒例のクリスマスCMの放送が始まりました。
毎年、ジョン・ルイスをはじめとする国内の大手スーパーマーケットなどが、クリスマスの季節をテーマにした感動的でちょっぴり笑える映像を流しています。
こちらでは、2023年を代表する、イギリスのクリスマスCMベスト10をご紹介していきます。
リドル(Lidl)
ドイツを拠点とするディスカウントスーパー「リドル」のクリスマスCMです。
あるアライグマが、男の子のクリスマスを特別な一日にするため、思い切った冒険に出る物語です。
男の子は、愛犬がツリーに飾ってあった猿のモチーフをうっかり壊してしまったことに、心を痛めている様子。その姿を見た母親は、「リドル」で猿のぬいぐるみを買います。
しかし母親は買い物帰りに、ぬいぐるみを自転車の荷台から落として走り去ってしまいます。
その姿を見たアライグマはぬいぐるみを拾うと、男の子に届けるために街中を疾走するという、心温まるストーリーです。
「リドル」は昨年、8万個以上のおもちゃを困難な状況で暮らす子供たちに寄付する、全国的なチャリティ活動「トイ・バンク」を復活させました。
アスダ(Asda)
イギリスの大手スーパー、「アスダ」のクリスマスCMです。
「アスダ」で深夜のシフト中、3人の従業員たちが休憩室でくつろいでいる場面から始まります。
時計が深夜12時を指し日付が11月1日に変わると、奇妙な音が流れ出します。
不審に思った従業員たちが店に行くと、店内はクリスマス一色に変化していたのです。3人が感動したのもつかの間、奇妙な音は続いていたため、音源とみられる部屋のドアを開けると…。
そこには歌手マイケル・ブーブレが、楽曲『It's Beginning To Look A Lot Like Christmas』を歌い、3人を出迎えてくれたのです。
みんなが眠る深夜に働く人々への感謝が伝わるストーリーです。
モリソンズ(Morrisons)
イギリスの大手スーパーマーケット「モリソンズ」のクリスマスCMです。
アメリカのロックバンド「スターシップ」の80年代のヒット曲『愛はとまらない(原題:Nothing's Gonna Stop Us Now)』をバックに、ユーモアあるストーリーが展開します。
クリスマスの朝、オーブンの前に掛けられたオーブン用ミトンが、歌に合わせて口パクを始めます。
家族が野菜を刻むなどして、キッチンでクリスマスディナーの準備をしています。その隣ではあらゆるデザインのミトンが、口パクを続けています。
オーブンミトンは、クリスマスのローストディナーには欠かせない、重要な役割を務めることを物語っていますね。
アルディ(Aldi)
「アルディ」のクリスマスCMでは、8年連続でニンジンの“ケヴィン”が登場します。
クリスマス・イブの夜、“ウィリアム・コンカー”が、ケヴィンと野菜の仲間たちを、マジカルなクリスマス工場を訪れます。
ケヴィンと野菜たちは、優勝品のチーズを勝ち取るため、さまざまな難関を乗り越えて行きます。
映画『チャーリーとチョコレート工場』の野菜版を思わせる、とても可愛い映像です。
マークス&スペンサー(M&S)
イギリスの老舗高級スーパー、「マークス&スペンサー」のクリスマスCMです。
クリスマスツリーが置かれた部屋の中で、妖精とトナカイを象ったニットのミトンが会話をする、マジカルなストーリーです。
妖精の声は女優ドーン・フレンチ、ひとつのミトンを俳優ライアン・レイノルズ、もう片方のミトンをロブ・マケルヘニーが担当しています。
部屋の中にいた妖精が窓の外を見ると、積もった雪の上に捨てられたトナカイのミトンを見つけます。妖精が魔法の杖を振ると、ミトンに命が吹き込まれ…。
ミトンたちは、“リリー”という女の子が出掛ける途中、バックパックから落ちてしまったという身の上話をします。
そして妖精が魔法をかけると、テーブルにはクリスマスのご馳走がずらりと並び、ミトンたちは「最高のクリスマスだ!」と大喜びします。
ウェイトローズ(Waitrose)
英王室御用達として知られる、イギリスで最も格式高い高級スーパー、「ウェイトローズ」のクリスマスCMです。
クリスマスの夜、ある家にはシャンパンやローストターキー(七面鳥の丸焼き)を持ったゲストたちが次々と到着します。
テーブルにご馳走が並びパーティが盛り上がる中、突然、玄関のドアに警官が現れ、「すみません、フィレンツェ風のパネトーネがあるという通報が複数寄せられているのですが?」と尋ねます。
この後ゲストたちがダンスをしていると、突然停電が起こり・・・。
ウェイトローズによる贅沢なクリスマス・ディナーを少しばかりジョークにした、とても楽しいクリスマスCMです。
ヴェリー(Very)
イギリスのオンライン・ファッション販売大手、「ヴェリー」のCMです。
雪解け後の曇り空、街では鳩たちがクリスマスの買い物をしています。
すると突然空が明るくなり、「ヴェリー」の小包をデリバリーするフラミンゴたちが現れます。
そしてフラミンゴが家に届けた小包みを開けると、ピンクの煌めく粉がちりばめられ、部屋がキラキラと装飾されます。
選び抜かれたプレゼントがクリスマスを彩る鍵となる…という素敵なメッセージが込められています。
アルゴス(Argos)
イギリスのカタログショップ大手、「アルゴス」のクリスマスCMです。
恐竜のおもちゃ“トレバー”が、スマートフォンで動画の撮影を始めます。
掛け声とともに人形の“コニー”がポーズを取って現れると、音楽に合わせてダンスを披露します。
最後にコニーがトレバーの前に行き、上手く撮影できたかと尋ねます。しかし画面を見たトレバーは、間違って自分の姿を自撮りしていたことに気付きます…。
ちょっぴり笑えてウィットに富んだ、遊び心のあるストーリーを描いています。
ディズニーUK(Disney UK)
ディズニーのイギリス版による、クリスマスCMです。
ウオルト・ディズニー映画『シンデレラ』(1950年)のサウンドドラックとして有名な楽曲『A Dream Is A Wish Your Heart Makes』が流れる中、願い事をする素晴らしさを描いています。
世界中の異なる人種や宗教を紹介しながら、ディワリやハヌカなど、さまざまな祝祭の伝統を紹介しています。
空港で再会したり、家族で食卓を囲んだりなど、世界中の人々が、祝祭の季節には愛する人と一緒にいたいという、普遍的な願いで結ばれていることを表現しています。
ジョンルイス(John Lewis)
祖母と骨董市を訪れていた少年は、「自分で育てる、完璧なクリスマスツリー」と書かれた木製の箱が気に入り、さっそく買ってもらいます。箱の下には「早く成長します」の言葉も。
少年は家に着くと箱を開けて種を出し、さっそく居間に置いたプランターに植えます。毎日、成長するのが楽しみでならない少年は、ワクワクしながらクリスマスツリーが育つのを見に行きますが・・・。
しかしそこに現れたのは、伝統的なクリスマスツリーとはほど遠い、食肉性の植物だったのです・・・。
イタリアのテノール歌手、アンドレア・ボチェッリが歌う、キャッチーなイタリアン・ロック・オペラをバックに、一風変わったツリーと少年との心温まるストーリーが展開します。
最後に
イギリスでクリスマスは伝統的に、遠く離れて暮らしている家族が年に一度集まる、大切な時期です。
しかし現代では人々の暮らしも多様化し、クリスマスでも深夜に働いたり、宗教や人種の違いによって祝福の仕方もさまざまです。
今年のクリスマスCMは、家族への思いやりに焦点をあてながらも、あらゆる人々の生活をテーマにしたストーリーが描かれているものが多かったようです。