古代のアリがゴキブリを食べる瞬間を閉じ込めた、古代の琥珀が発見されました。この虫入り琥珀はなんと9900万年前のものですが、アリとゴキブリの姿がはっきりと残されています。

(写真:Phil Barden/Instagram)

現地時間6日、科学の学術誌『Current Biology』に論文が発表されました。「地獄アリ」として知られる古代種のアリが、古代種のゴキブリの頭を挟んでいる姿を閉じ込めた「虫入り琥珀」の発見についてでした。
米ニュージャージー工科大学が発表した論文では、地獄アリがどのように“奇妙でありながらも致命的となる、鎌のような大あご”といった機能を使い、角のような器官で獲物を挟んでいたかを伝えています。

現在のアリは、口の器官を左右に動かして獲物を掴みます。しかし地獄アリは現存のアリとは違い、大きな鎌のような口と角を持っていました。そのため、口の器官を上下に動かして獲物を捕らえるしかないと考えられています。

今回発見された「地獄アリ」は、今から約2000万年前から白亜紀に生息していたそうです。発見されたのは約100年前ですが、これが非常に貴重な発見であったと論文の筆頭著者のフィリップ・バーデン教授は記述しているそうです。

バーデン教授は「約100年前に最初の地獄アリが発見されて以来、なぜこれらの絶滅した動物が今日のアリとは異なるのかは謎でした」と記し、今回発見した化石は、“進化実験”と呼ばれる背後にあるメカニズムを明らかにするものだと説明しています。

琥珀は古代の針葉樹などの松ヤニの樹液が固まり、長い歳月をかけて化石化したものです。樹液の中に偶然アリや蜂などの虫が閉じ込められると、一緒に化石化して「虫入り琥珀」となるのです。

ちなみに、今回発見された琥珀はミャンマーで発見されたものだそうです。ミャンマーではこれまでにも、驚くような虫入り琥珀が相次いで発見されています。

まず2018年8月には、9900万年前のカブトムシを閉じ込めた琥珀が見つかりました。同年12月には、1億3千年前の虫が卵から生まれた瞬間を閉じ込めた琥珀が発見されています。

そして2020年初めには、1億年前に完全な形で閉じ込められたトカゲの足とスライムカビを内包した琥珀が見つかりました。3月には、9900年前に閉じ込められたゴキブリのペアを内包した琥珀が発見されるなど、大変貴重な瞬間を捉えた虫入り琥珀が見つかっています。