英時間17日にプライベートな結婚式を挙げた英ベアトリス王女の写真が公開されました。王女は祖母エリザベス女王から借りたウエディング・ドレスとティアラを着用していました。

ドレスは王室御用達ドレスメーカーノーマン・ハウエル製で、エリザベス女王が60年前に着用したもの。そしてティアラは、エリザベス女王が所有する有名な『クイーン・メアリー・フリンジ・ティアラ』でした。このティアラにまつわるお話をお伝えしたいと思います。

写真:The Royal Family/Instagram

ヴィクトリア時代から継承するティアラ

ベアトリス王女が着用した『クイーン・メアリー・フリンジ・ティアラ』は、長い歴史があるロイヤルジュエリーです。その歴史は、ヴィクトリア時代へと遡ります。


1893年、ヴィクトリア女王が『Collingwood & Co.』でダイアモンドのティアラ兼ネックレスを購入し、メアリー王妃の結婚祝いとして贈りました。王妃はこのティアラを、ジョージ5世との結婚式で着用します。

1919年、メアリー王妃はこのティアラ兼ネックレスを、新しいデザインのティアラへとリメイクさせます。メアリー王妃は王室御用達ジュエラー『ガラード』に依頼し、「ココシュニック・スタイル」のティアラへとリメイクするよう依頼しました。

そして、ティアラはダイヤモンドを配した46本の細いスパイクで区切られ、先端の尖った47本のバーにダイヤモンドを配したデザインとして生まれ変わったのです。

1936年8月、このティアラは、メアリー王妃の次男ジョージ6世の妻エリザベス王太后(のちのクイーンマザー)へと贈られます。

エリザベス女王が結婚式で着用

そして1947年、エリザベス王太后の長女エリザベス王妃(現在のエリザベス女王)とフィリップ・マウントバッテン(現在のフィリップ王配)のロイヤルウエディングが執り行われます。

結婚式当日、クイーンマザーは「サムシングフォー」のひとつとして、娘エリザベスにこのティアラを貸し出しました。

ロイヤルウエディングの当日、エリザベス女王はメアリー王妃から引き継いだティアラと、ノーマン・ハウエルがデザインしたウエディング・ドレスを着用しました。

1973年には、エリザベス女王の娘アン王女がマーク・フィリップスと結婚した際、アン王女に貸し出されました。そして今回、ベアトリス王女がこのティアラを結婚式で着用したのです。

エリザベス女王のロイヤルウエディング直前、思わぬハプニングが!



2011年、バッキンガム宮殿の夏の展示会でキャサリン妃のウエディング・ガウンが展示された際、妃と共に見学していたエリザベス女王はある告白をします。

それは、女王自身のロイヤルウエディングの直前に起こったハプニングの思い出話でした。

メアリー王妃から継承したティアラを着ける予定だったエリザベス女王は、このティアラがネックレスとしても使えることを知らなかったそうです。

ティアラにキャッチ(ネックレスを留める部分)があるとは思いもしなかった女王は、間違えてティアラを折ってしまいました。

すぐさま、万が一のために控えていた王室御用達ジュエラー『ガラード』の職人が修復にあたり、挙式直前に修理が完成しました。

『ガラード』が出版した本の中でもこの話は綴られています。職人は警察に護衛されながら工房に行き、ティアラの折れたフレーム部分を急いで修復したそうです。その間クイーンマザーはエリザベスに「まだ2時間もありますよ。それに、ティアラは他にもあるのですから」と慰めていたといいます。

ロイヤルジュエリーのひとつとして女王が所有

The Royal Family/Instagram

『クイーン・メアリー・フリンジ・ティアラ』と名付けられたティアラは、現在もエリザベス女王が所有する王室ジュエリーのひとつとして保管されています。

女王が着用することは滅多になく、今回のように王室メンバーによって特別な機会にのみ着用されているようです。