11月25日、多くのラグジュアリーブランドを傘下に持つLVMHグループが、米宝石店「ティファニー」を買収した、というニュースで世界中を驚かせました。
買収金額はおよそ162億ドル(約1兆7千6億円)。かねてから買収計画があったそうですが、最終的に一株135ドルでの買収が決定、グループ最大の買収額となりました。
LVMHによるティファニーの買収計画は、先月トランプ大統領の耳にも届いていたそうです。それは、10月に米テキサス州にルイヴィトンのレザーグッズ製作工場のオープニング・セレモニーでのことでした。
LVMHの代表者ベルナール・アルノーは、セレモニーに出席したトランプ大統領に、「アメリカで重要なものを買うつもりだ」と伝えていたそうです。
LVMHは、ダイヤモンドの婚約指輪やブルーボックスで知られるティファニーのさらなる拡大に向けて、買収を持ちかけました。しかし、最初に提示した買収額が低すぎるという理由から拒否されます。
この後LVMHは、JPモーガンなどの大手銀行からのアドバイスを受け、11月初めには買収額が1株130ドル近くに引き上げられます。そしてティファニー側との話し合いの結果、最終的に1株135ドルで買収することで合意したのです。
パリを拠点とするLVMHは、1987年にシャンパンやコニャックを製造販売するモエ・ヘネシーと、高級ブランドのルイヴィトンが合併して誕生したコングロマリットです。ディオールやケンゾー、フェンディなどの高級ファッションブランドから、ブルガリ、デビアス、タグホイヤーなどの時計宝飾ブランドや、ドンペリニョンなどのワインブランドなど、ヨーロッパを中心とする60近くものブランドが傘下となっています。
32年間、企業買収を行ってきた代表者のアルノー氏の歴史の中でも、今回のティファニー買収は最大規模でした。「ティファニーが、私達のグループを象徴するブランドたちと並ぶことを、とても誇りに思うだろう。次の世紀においてもティファニーの繁栄を確信するのを楽しみにしている。」と語ったそうです。
ティファニーは高級ジュエリーの他にもシルバージュエリーなど、手が届きやすい価格帯のアイテムが揃っています。購買層の幅も広く、最近では中国での人気も急上昇しています。
ティファニーがLVMHの傘下となることによって、マーケティングや技術のさらなる向上が期待されています。これまで以上に、世界的地位を高めていくのではないのでしょうか。