ロンドンの自然史博物館の鉱物展示室レポート


久しぶりに、ロンドンのサウス・ケンジントンにある、自然史博物館に行ってきました。

科学博物館とヴィクトリア&アルバート博物館に隣り合った場所にあるので、毎日家族連れや観光客、学校の社会見物など多くの人々が訪れています。


自然史博物館といえば、動物や植物の歴史が展示されていることで有名です。館内の半分は動植物の歴史、後半分は地質学や地球の歴史が学べる空間となっています。

広い博物館の中で私がお気に入りの場所は、地質学をテーマにした展示室です。目的は「アースズ・トレジャリー」と題された展示室にある「ミネラル・コレクション」。鉱物好きにはたまらない宝箱のような場所だからです。

この展示室には、鉱物や宝石の標本がショーケースにたっぷりと並べられています。細かく分類されているので、一日居ても飽きないくらい。鉱物・宝石好きなら絶対訪れたい場所です。

では、ワクワクしながら、ショーケースをのぞいてみましょう。


大きな結晶の標本たちです。

ゴソッと採れたのを、そのまま持って来たような素晴らしいサイズと見た目ですね。

どれも眩しいです。

あ、隣には輝きの強い宝石が。


スファレライトの原石でした。

スファレライトとは、ダイヤモンドに近い屈折率と4倍近い分散率を持つことから、ダイヤモンドのような強い煌めきを発する宝石です。

透明度が高い宝石品質のものはとても稀です。

こちらの結晶は大きいけれど宝石としてはどうかな?

そして、何気に後ろを振り向くと。


出ましたブルージョン!

イギリスはフローライトの産地です。

そしてこのブルージョンは、縞模様のあるフローライトの一種です。ダービーシャー州のキャッスルトンで産出していたブルージョンは、18世紀中ごろから装飾品として加工されていたのだそう。

ヴィクトリア時代にはブルージョンの装飾品が大流行したそうです。現在はオークションなどで高額で取引されているのを見かけます。

近くで良~く見ると、やっぱりフローライト♡

うっかり落としたりしたら、すぐ割れるんじゃないかって心配です。それにしても、すごい加工技術ですね。

そして、とにかくデカい…。

さて、次はガーネットを。


こちらは、各種ガーネットの原石やルースなどの標本です。

左にはデマントイドガーネットの原石が。

やっぱり小粒なんだな~と実感。

奥にあるピンク・グロッシュラーはキャンディーみたいで美味しそうです。

この他にも、ガーネットの大きな結晶が「どかん!」と置いてありました。

次は、コランダムのショーケースに。


これ全部、スターサファイアです。

サファイアは色の種類が豊富ですが、それぞれの色でスター効果を見せるものが発見されているのですね。淡~いふじ色でもしっかりアステリズムを表しているのが凄いです。

左下には、ブラックスターサファイアがありますね。

そして、次の巨大石を。


うわ!超デカい、カルサイト(方解石)!!

この大きさで、たっぷりとダブルビジョンを楽しめってことらしいです。

カルサイトは、複屈折量が多いから後ろにあるものが二重に見えるのだけれど...。この石は大きいだけに、内部がすでにダブリングで見えています。

今回もじっくり見て回ったのだけれど、著名人たちが所有した、希少なルース・コレクションのショーケース内が空っぽでした。整理するために一時的に取り外しているようで、何だか残念です。次回を楽しみにしましょう。

写真で、じっくりと鉱物を見るのも好きです。