ロンドンのサウス・ケンジントンにある、「ヴィクトリア&アルバート博物館」には、イギリスをはじめヨーロッパや世界各国から集めた芸術作品がたっぷりと展示されています。

1日では到底回り切れない大きな博物館ですが、私はジュエリーの展示を見に行くために何度も足を運んでいます。そのため、ほかの展示を見る時間は毎回ほとんどなし…。

今回も「歴史的なジュエリーをじっくりと観察するぞ!!」と意気込んで行ってみました。


そして、展示室に着くと。何とドアが閉まっているではありませんか…。

ドアの前には「ただいま新しい展示物を入れるための改装中。」とのメモが。4月中旬に再オープンするそうで、がっかりでした。次の新しい展示を楽しみにするかな、と心に決めて、ほかの展示室を回ることにしました。

今回は博物館の地下にある、17世紀から19世紀にかけてのヨーロッパの展示室をじっくりと回ってみました。

いくつかの展示物を写真に撮ったので、ご紹介していきます。

まずは、フランスです。


中世フランスといえばこのお方、マリー・アントワネットです。

マリー・アントワネットが17歳の時に描かれた肖像画で、豪華なコート・ドレスとジュエリーを纏っています。う~ん、素晴らしいですね。1773年作。

次は、ドイツの装飾品です。




ビーズが細かく施された、デコラティブなスタンドです。

マザーオブパールやエナメルも施されていて、とても繊細。近くでよ~く見ると、花や天使のモチーフが付いているのですよ。



もっとフォーカスしないと見えないかも…。

で、これは何ぞや?と説明を読んでみると、『Urn on stand』だそう。スタンドの上の骨壺?(もしくはただの壺かな)。

1755年にブラウンシュヴァイクのカール一世が命令し、7年戦争で戦った兵士たちを集めて工場で作らせたものだそうです。

兵士たちがこのような細かい作業を行い、こんなにも美しい芸術作品を残してくれるなんて…。感謝ですね。


次はイタリアの作品を。



全体がマザーオブパールとアイボリーで覆われたこのオブジェ。これは一体、家具なのかアートなのか。

説明を読むと、1745年に、サルジニア王室御用達のキャビネット製作者、ピエトロ・ピフェッティという人物が製作した「スタンド」なのだそう。

当時の王侯貴族は、ゴテゴテとした派手な家具を好んでいたそうです。こういった好みを敏感に取り入れた職人のピエトロが、思い切り派手でラグジュアリー感に溢れたデザインを思いついたとのこと。

私には、装飾した灯篭に見えて仕方ない…。


次は、フランス製の置時計です。




象と時計、その上には傘を差した猿が座っています。

説明によると、象はアフリカを意味し、猿は中国の民族衣装を着ているのだとか。当時は、外国のモチーフを取り入れた装飾品が流行っていたそうです。


こちらは、フランスのティーサービスのセットです。


かわいい♡

1775年に、フランスの陶磁器の街として有名なセーヴルにある、陶器工場で製作されたものです。ツヴァイブリュッケン公のクリスチャン4世のために作られたものだそうです。

私はポーセリンには詳しくないのだけれど、これがセーヴル焼きだそうです。

コーヒーや紅茶、チョコレートなどを嗜む、ティータイムのために製作されたラグジュアリーな陶器類。お皿やカップには農作業を行う人やハンターの姿がエナメルで描かれていますが、こういった絵は当時の流行だったそうです。ロココ調ですよね。



こんなに美しく、繊細なジュエリー類も展示されていました。

今回もほんの少ししか回れなかったのですが、素晴らしいヨーロッパの装飾品をじっくり見れて本当に満足でした。写真には取らなかったのですが、大きな家具や椅子なんかもすごーくラグジュアリーで、圧巻の美しさでした。

他の展示室も少しずつ変化しているので、また近いうちに訪れたいと思います。もちろん、新しいジュエリーの展示も待ち遠しいですね。




ヴィクトリア&アルバート博物館は、テキスタイルのデザインで有名なウイリアム・モリスの作品が数多く展示されています。