中世ヨーロッパでは、王侯貴族のために豪華な宝石と豪華なデザインによる最高級品質のジュエリーが製作されていました。
長い歴史上で、高価なジュエリーは戦争や紛争に巻き込まれて紛失してしまうこともありました。
そんな中、所有する王家や国家が対策をとったおかげで、戦火を逃れた場所で大切に保管され、現在に引き継がれている国宝級のジュエリーも数多く残されているのです。
フランス革命中に極秘で移動
フランス王妃マリー・アントワネットが所有したという宝飾品が、11月14日にサザビーズのジュネーブ店で開催されるオークションに出品され、競売にかけられることになりました。オークションの題目は「ブルボン・パルマ家によるロイヤル・ジュエリー」。当時の王妃の女官からの報告書によると、フランス革命の渦中である1791年、マリー・アントワネットの親族はフランスから脱出する準備をしていたそうです。
王妃は所有するジュエリーを包み、ブリュッセルに住む姉マリー・クリスティーネ皇女の元へ届けました。ジュエリーはブリュッセルに届いた後、ウイーンに住むマリー・アントワネットの甥フランツ2世の元へと送られました。
トータル100点以上にも渡るロイヤル・コレクションは、すべて王族のブルボン・パルマ家によって所有されて続けてきました。
公の場に現れるのは200年ぶり
これらのジュエリーは、今回200年ぶりに公の場に姿を現すことになります。公的に発表されていない作品や、マリー・アントワネット個人のコレクションも多数あるそうです。
サザビーズによると、マリー・アントワネットは肖像画でパールのイヤリングを着用していることが多く、18世紀後半にはパールはダイヤモンドと同様の称賛を与えられていたということです。
出品されるジュエリーは、天然パールをはじめダイヤモンドやサファイアなどの素晴らしい宝石を使用した優美なデザインの作品が勢揃いしています。
予想されている落札額は、天然パールが331石連なったネックレスが30万ドル(約3300万円)、天然パールのドロップイヤリングが3万~5万ドル(約330万~550万円)、天然パールとダイヤモンドのペンダント(写真)が200万ドル(約2億2千万円)。
豪華なティアラも出品される
オークションでは、マリー・アントワネットのコレクションのほかにも、オーストリアのマリア・アンナ皇女が結婚式で着用したティアラが出品される予定だそうです。
このティアラは1903年に行われた、パロマ公ロベルト1世の息子エリアとの結婚式で使用したもの。親族であるオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世から贈られたという、ダイヤモンドを連ねた優美な作品です。
このほかにも、マリア・アンナ皇女が所有したダイヤモンドに6.89カラットのビルマ産ルビーが配されたリボン型のブローチや、2.44カラットのファンシー・オレンジ・ピンク・ダイヤモンドが配されたダイヤモンドの指輪が出品される予定。どちらも皇女が息子達を出産した際に父親から贈られたものです。
まとめ
出品されるコレクションはミラノで6月27日から展示され、9月にはミュンヘンとケルンにも回る予定。この後ロンドン、ニューヨーク、香港を経て、オークションが開催されるジュネーブへと辿り着きます。